痴呆とは別に、加齢にともなう脳の老化にもDHAは有効である。脳の細胞は、胎児のころにほぼ完成し、生まれてからはほとんど増えることはない。しかも恐ろしいことに、三〇歳を過ぎたあたりから、一日一〇万個ずつも死んでいくと言われている。四七歳の私の場合、三六五日×「四七歳マイナス三〇歳」×一〇万個だから……物忘れがひどくなるはずである。こうした老化にともなう脳の働きの低下は、脳細胞自体が減るのと同時に、脳細胞に含まれているDHAが減ってしまうことも大きいと思われる。脳細咆の中には平均一〇%程度の割合でDHAが含まれていて、記憶学習など脳の機能を活発にする働きをしているのだが、脳細胞が減っていけば、当然、脳の中のDHAも減ることになる。高齢ネズミと若いネズミの脳内のDHA量を比較した研究で、高齢ネズミのほうが明らかにDHA量が少なかったと報告されている。しかし、あきらめてはいけない。実は、脳内のDHA量が減っている高齢ネズミに、DHAの多いエサを1ヵ月間にわたってあたえ続けると、若いラットと同じくらいまでDHA量が回復することが確認できている。